ここだけの話

今から歌うことここだけの話にしておいてね

幸せのためならいくらでもずる賢く

すてきな夜をすごした。価値観の合う人と飲むお酒は、やっぱりめちゃくちゃ美味しい。価値観が合うというか、お互いのセーフラインが似ている、もしくは同じといった感じ。お互いちゃんと踏み込みすぎず、でも他人事でもなく、いい距離感でいようっていうのがわかって、だからとても心地いい。

そんな夜を過ごしたあとは、わたしはまだまだ発展途上で、まだまだやれることがあって、知らないことや、知らない領域で生きている人がたくさんいることを知っても、挑戦的な気持ちになれる。じぶんの限界を決めるのはあくまで自分なんですということに、改めて前向きにいられる。そんな感じ。

 

特に書きたいことはない。けど無性に文章を吐き出したくなるときがある。なんなんだろうこれは。別に人と話したいわけじゃなくて、聞いてほしいわけじゃないけど。なんなんだろう。

ちょっと前にこれ書きたいなあということがあったんだけど、なんだったか忘れてしまった。事象には鮮度があるのかも。自分にとっての。なんだったんだっけな。

 

そういえば、思い出した、前にツイッターで「自分が感銘を受けた言葉メモ集」をブログに公開している人がいて、その中に太宰治の斜陽を引用している人がいて、全くおんなじところを私も昔メモしていたから、それを発表するのもありなんだ〜〜と思ったんだった。人がどんな言葉に敏感に生きているのか知るのはすごく面白いことだと思う。私がメモを取り始めたのも、好きな二次創作の小説家さんの影響だった。かっこいいと思って。でも紙に書くのは苦手だから、やっぱりスマホで残している。一人でたまに見返して、そうだったなあって思うこと多々。もう一回見たら、改めて違う意味に取れたりもするし、見つけたときより、見返したとき、その瞬間のほうが、欲してる言葉だった、みたいなときがある。面白いなと思う。『こころ』とかも、読む年齢によって、全然こんな話だっけ!?ってなったりするって言うし、言葉ってすごい。陳腐な言い方だけども。

 

メモの内容をバーっと書いてみる。ついでにその時のことも思い出してみる。

 

 

 

 

ノルウェイの森
p14
そういう子を教えるときのコツはまず賞めすぎないことよね。小さい頃から賞められ馴れてるから、いくら賞められたってまたかと思うだけなのよ。ときどき上手な賞め方をすればそれでいいのよ。それから物事を押し付けないこと。自分に選ばせること。先に先にと行かせないで立ち止まって考えさせること。それだけ。そうすれば結構うまく行くのよ

p48
何もかも放り出して誰も知っている人のいないところに行っちゃうのって素晴しいと思わない?私ときどきそうしたくなっちゃうのよ、すごく。

--------

初めての村上春樹。たしか同じ登場人物の台詞だった気がする。

 

 


僕の書く下手な詩はたぶん世界を救えない
メランコリニスタ/YUKI

--------

大好きなYUKIの歌詞。こんな天才でもそんなことを言ってしまうんだ、という気持ち。

 

 


こんな甘いのにシュガーレスって書いてあるしんどいなもうずっとしんどい

/兵庫ユカ

--------

たまたまネットで見かけた短歌。ずっしりしてる。甘いのに。そういうときある。暗唱できるくらい好き。

 

 

 

ご無事で。もし、これが永遠の別れなら、永遠に、ご無事で。

/太宰治「斜陽」

--------

先述したのはこれですね。多分至るところにコピペして名言として載ってる。

 

 

 

あくびがうつるくらい近くにいても
さわれない関係ならどうにもならない

/河原和音「先生!」

--------

めっちゃ好きな少女漫画。詩的だし、どうしようもなく切実。河原和音さんの漫画は何読んでも泣いてしまう。

 

 

 

朝雨目が覚めたら革命が終ってた
なんてのが いいわよ
と 見知らぬ若い女
見知らぬ若い男からするりと逃げた。
いくら酒を飲んでも
耳しか熱く酔っぱらわないことがある。
二月の底冷えのする とある酒場で
ぼくはぼくのからだを持てあまし
ぼくの耳は はげしく
音楽に飢えていた。
/『耳』清岡卓行

--------

たしか江國香織のまとめた詩集の引用だった気がする。お酒飲んでも、馬鹿になろうとしても、どうしてもうまくいかないときとか。

 

 

 

東京は地上に星がある
/『国道スロープ』きのこ帝国

 

一瞬の世界の美しさに騙されて僕ら息をする
/『フェイクファーワンダーランド』きのこ帝国

 

記憶は思い通り風化する 窓際で君は外ばかり見ていた
/『風化する教室』きのこ帝国

--------

きのこ帝国を聴き始めたときにメモしたものだと思う。佐藤さんの詞のセンスはほんとに天才だと思う。天才とかそんな陳腐な言葉では言ってはいけないほど、大体の世の中のマイナスな、細分不可能な感情は、この人が歌い尽くしてるのでは?と思っちゃう。はっきり言って崇拝してる。

 

 

 

君はもっと好かれなくていい。君のスマホのメモリに友達が40人いたとして、月に1日その中の1人と会ったとしても、君は毎日フル稼働しても全員とは月に一回も会えないんだよ。例えが下手すぎるけど、つまり僕らのキャパはそんなに大きくない。君は両手で構えきれないくらい愛されようとしなくていい
/ それでも世界が続くなら 篠塚将行

--------

本人のTwitterのつぶやきの引用だったと思う。真理だなあと思う。嬉しいはずのものが、求めてたはずのものが抱えきれなくなったとき、もっと自己中でいてもいいのかな、って思った。

 

 

 

自分のしてゐる事は、役者が舞台へ出て或る役を勤めてゐるに過ぎないやうに感ぜられる。その勤めてゐる役の背後に、別に何物かが存在してゐなくてはならないやうに感ぜられる。(中略)赤く黒く塗られてゐる顔をいつか洗つて、一寸舞台から降りて、静かに自分といふものを考へて見たい、背後の何物かの面目を覗いて見たいと思ひ思ひしながら、舞台監督の鞭を背中に受けて、役から役を勤め続けてゐる。此役が即ち生だとは考へられない。背後に或る物が真の生ではあるまいかと思はれる。

/『妄想』「鴎外全集」第八巻 岩波書店

--------

レジュメの準備してたときにたまたま読んだ資料だったかな。はっと今してることを俯瞰して見るような気持ちになった。こういうことに気づくかどうか、それが結構人生左右するのかな、みたいな。

 

 


觀察は人事と自然とを問はず尤も精密ならざる可からず,則ち人事の内に自然の中に人情は偶出すれば也。故に人惰を教へんと欲する必ず人事と自然との精妙なる描寫を要す,之れを描寫せんと欲する、則ち觀察を要す。
 ー彼はできるかぎり多くの風景を観察し、多くの美を発見する。そして自然の中にある人間にさらにすばらしい美を発見しました。そこには最高の自由がありました。

/『欺かざるの記』(3月31日)

---------

これなんだっけ。引用が杜撰すぎる。(笑)

たしか国木田独歩の「武蔵野」の資料探してたときに当たった文章。後半はその解説かな…。武蔵野について、なんでこんなにうつくしい情景をうつくしいままに書き記せるんだろうと思ったんだった。

 

 

 

常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけ、ということなんだが、このことは、コペル君!本当に大切なことなんだよ。ここにゴマ化しがあったら、どんなに偉そうなことを考えたり、言ったりしても、みんな嘘になってしまうんだ。
/『君たちはどう生きるか吉野源三郎

---------

話題書だったから読んだけど、なるほどベストセラー、だった。学級文庫に置きたい。今読むと、何でもそうなんだろうなと思う。自分が聞いたこと、見たことから、自分が何を思って、何を知りたいと思って、何をしたいと思ったか、それが大事なのであって、聞いたことをそのまま記憶することほど無意味なことはないし、自分から発信された疑問とか思いは、並大抵のことで失ったりしないのかなと思う。だから自分の思いっていうフィルターを通すのはすごく大事だなと思う。

 

 

 

ベロニカは、人生において、行動を起こす瞬間(とき)こそが全てだと知っていた。

「ベロニカは自分の今までの生き方が大嫌いだった。自分の中の、おもしろく、異常で、好奇心旺盛で、勇敢で、毅然としている、何百というベロニカを一度も見つけ出そうとしなかったからだ」

p247「わたしの人生に意味を与えてくれてありがとう。わたしはこれまで体験してきたことを全て体験するために、この世界に生まれてきたの。自殺未遂をして、自分の心臓を壊して、あなたに会って、この城まで来て、あなたの心にわたしの顔を刻みつけさせた。それが、わたしがこの世に生まれてきた唯一の理由なのよ」
/『ベロニカは死ぬことにした』パウロ・コエーリョ 江口研一訳

---------

勇気の出る言葉。私がなにも持っていないと思うのは、私が何を持ってるのか、私自身が知ろうとしていないから。私は何かをできるかもしれないのに、何もしようとしたことがなかったから。たったそれだけ、ということ。

 

 

 

「これ以上望んだらあなたを失うかもしれないと思う恐怖なんて、あなたにはわかるはずがない」

/「スイートリトルライズ江國香織

--------

多分これを読んだとき、このまんまの気持ちぴったりの出来事が起こってたからメモしたんだと思う。こういうの、改めて見返すと、その時思っていたことや悩んでいたことや、感じていたことも思い出すから、嬉しいような、悲しいような。

 

 


「わたしをすきなひとが、わたしに関係のないところで、わたしのことをすきなまんまで、わたし以外のだれかにしあわせにしてもらえたらいいのに。わたしのことをすきなまんまで」    
/『死んでしまう系のぼくらに』最果タヒ

--------

今も思ってる。

 

 

 

「コーヒーにミルクを入れるとコーヒー牛乳になるが、ミルクを入れた瞬間、ミルクがまだ溶ける前の段階、それはコーヒーでもコーヒー牛乳でもない。小説が書くべきなのはそこだ」…曹文軒
/『使える!「国語」の考え方/橋本陽介

-------

引用の引用。小説の役割とは何なんだろう。今もわからないし考え続けてること。

 

 


手当り次第に調べるのではなく、まずは問題の性質を大づかみに把握した上で、自分なりの切り口を見つけるよう心がけたい。 調べれば調べるほど分からなくなってくる気がして、うんざりすることがある。が、投げ出す前に反省してみて欲しい。どこまでなら分かったのか。どこからが分からないのか。取り組む前に比べれば自分が確実に前進していることに気づくはずだ。
/「国語教師が知っておきたい日本語文法」山田敏弘

--------

講義の参考書だけど、そのまえがきかな?当たり前だけど、大切なことが書いてあると思った。泥沼に嵌りそうなとき、あくまで論理的に。考える。

 


 

「頭がいい人は、相手に説明をする目的と、相手にどこまで理解させる必要があるかを見極めることが上手い」
/ https://blog.tinect.jp/?p=35489&&p=35489&__twitter_impression=true

--------

URLとともに引用してある。偉い。(笑)日付ないけど(笑)さっきの、細分化することと似ているかも。

 

 


好きだった曲を好きなまま歳とっておんなじ歌詞になんどでも泣く

/岡野大嗣

 

愛のこと甘く見ていた 春の駅 人の気持ちを甘く見ていた /石川明子

-------

短歌2首。岡野さんの短歌はめちゃくちゃ好き。たぶん多くの人が感じたことがあることを、三十一文字に納めるのがうますぎる。石川さんのはなんだっけな。「短歌ください」に載っていたやつかな。自分が考えたこともなかったほどのあまりにも大きな、人の情とか、愛とか、優しさとか、そういうものを不意に受け取ってしまって、呆然とすること、ある。

 

 


嘘で守りたいものが分かるし、言い過ぎることで隠したいものが分かるし、本音を言わないことで囚われているものが分かるし、無言でいることで言いたいことが分かるし、軽率なことで大切なものが分かるし、育てた強さで一緒に生まれた弱さが分かるし、全ての在り方は本心に通じる。よく見つめさえすれば/森(@l_l__ii)

--------

この人!斜陽の言葉をメモしたブログを公開した人だ。この人の真似して私もこうやってブログに綴っている。誰が見るかもわからないけど。自己満足で。

ちゃんと見つめたら、ちゃんと分かるってこと、そのとおりだと思う。それは空気を読むのとは違って、文脈を読むことだと思う。空気とはその場の流れだけれども、文脈は、その人のことをちゃんと普段から見ようとしていれば、分かることだと思う。もっといえば、その人が生きてきた世界を知っていれば、それと照らし合わせたとき、分かることだと思う。曖昧な言い方になっちゃった。まだうまく言葉に出来ない。

 

 


人は人吾はわれ也とにかくに吾行く道を吾は行なり
/西田幾多郎

--------

哲学の道をぶらぶらしていたら石碑に書いてあった、哲学者のありがたーいお言葉のよう。人は人我は我なり。それ以上でも以下でもないのでした。自分が何をしたらいいかわからなくなっていたときに出会った言葉だったから、この端的な意味に、すっきりしたなあ。

 

 


恋の満足を味わっている人はもっと暖かい声を出すものです。しかし……しかし君、恋は罪悪ですよ。わかっていますか
/「こころ」 夏目漱石 P39

--------

こころを引用するならここだろうなあ、ってくらい、見飽きるほど見た言葉ですね。でもやっぱり、好きなんですよね。多分二回目に読んだときにメモしたんだと思う。恋の満足を味わっている人はもっと温かい声を出す、先生はそれをどんな気持ちで言ったんだ?何を思い浮かべて言ったんだ?

 

 


恋人がわたしのことを好きで好きで仕方ないって様子を見るたびにせつなくなる いつか終わるそれをなんどか、見てきて、この身に染みている わたしも、あなたのことが好きになってゆくたびにかなしい 好きよと言葉にできないくらいには好きよ
/see(@pemeom)

-------

Twitterからの引用多いですね。しかも一般の方のツイートの引用だからなんか勝手にメモしてごめんなさい、という気持ち。

このツイートはひとつの小説みたい。こんなに短い言葉のうちに、無限なほどの時間の経過を感じる。諦めとか期待とか。

 

 


道ばたで死を待ちながら本物の風に初めて会う扇風機
/岡野大詞

--------

意味がわかった瞬間、天才だと思いました。

 

 


愛こめてどうか不幸であるように君無き春の我無き君へ
/吉野朔美

--------

どこから引用したっけ。忘れちゃった。君なき春の我無き君、というのが好きすぎる。いつまでも我だけが引っ張られている、でも君も同じなんじゃないかとどこか期待する。好き…。

 

 


「息をのむほど美しい」より、あなたが「美しくて息をのんだ」かどうかが大切なんじゃないか
/ヨ田(@yo_k_t)

--------

評価なんかより、実感が大事。なのかな。とくに芸術においては。

 

 


けれども自分は、竹一の言葉に依って、自分のそれまでの絵画に対する心構えが、まるで間違っていた事に気が附きました。美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、おろかしさ。
(p40)

ああ、人間は、お互い何も相手もわからない、まるっきり間違って見ていながら、無二の親友のつもりでいて、一生、それに気附かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。
(p100)
/人間失格 太宰治

--------

最近読み直した人間失格の引用。すごい小説ってほんとすごくて、何がすごいかというと、読んだその時の自分の問題意識によって引っかかる言葉が全然違うんですよね。すごいですよね。たぶん5年前はこんなところ、全く気にかけてなかったと思います。これを引用したときの私は、きっと「芸術ってなにをもって評価されるものなんだ?どんな芸術が『いいもの』なのか?」ということが問題意識としてあったんだと思います。今の時点での自分の中の答えは、「芸術家がどんな形であれ、自分のいっさいを剥き出しにして、顕にして、造ったもの」かも。

 

 

 

三十一文字で三十一文字ぶんのことしか伝えられなかったら、それはもう電報だ。
/言葉の豊かさに触れること『文學界』2019年9月号 ( 俵万智

--------

短歌の真理か。と思った。なんでこんなに短歌に惹かれるのかと思ったら、たった三十一文字で、もっともっと多くのことを語ってるからなのかも。

 

 

 

 

 

 

引用の方法がめちゃくちゃ不統一で申し訳ない。その時の勢いで引用してるから、あんまり深く考えてないと思う。「好きなことばメモ」の他に、好きな単語メモもある。かっこいい言葉とかきれいな言葉とかやさしい言葉とかうつくしい言葉とか。なんかそっちのほうは恥ずかしいので載せないけど。

書き出してみたら思ったより少ない。わざわざメモするほど響いたものしかメモしてないからかも。でもこのくらいのペースがいいよ。私に合ってるよ。懲りずにめげずに、言葉の引き出し、もっともっと増やしていきたいと思いました。

 

タイトルなんも関係ないな。「幸せのためならいくらでもずる賢く」と歌うカネコアヤノが大好きです。かっこいい言葉だったから引用しただけ。

でも今日は、リーガルリリーが心地よい夜です。